Fun Done Learnをしばらくチームで運用してみたのでご紹介します。
Fun Done Learnとは
Fun Done Learnはふりかえり手法の1つです。詳しくは以下を御覧ください。
2018-10-31
やっとむでぽん
yattom.hatenablog.com
やり方に正解はないので各々でやりやすい方法を見出していけばよいですが、
- アウトプットの時間:Fun Done Learnを意識せずにとにかくやったことを付箋に書き出す
- マッピングの時間:付箋をどこに貼るか話し合いながらマッピングする
のように、アウトプットの時間とマッピングの時間を区切ることがコツだな、としばらくやってみて思いました。「マッピングのことを考えながらアウトプットする」など2つのことを同時に進めるのは人間には難しいので、1つのことに集中できるように進めることをおすすめします。
モブチームのFun Done Learn
タイミング
自分のチームでは、だいたい以下のようなリズムで働いています。
※「Art」や「Science」が気になると思いますが、それについては後述します
1日の最後のふりかえりの時間として、Fun Done Learnをはじめました。
進め方
以下のような流れとタイムスケジュールでFun Done Learnをしています。
1. やったことを付箋に書き出す(5分)
自分のチームでは日常的にモブワーク(全員で一緒に仕事をする)をしているので、個人ワークではなくチーム全員でその日やったことを思い出しながらとにかく付箋に書き出します。
2. Fun Done Learnにマッピングしながら雑談する(5分)
書き出した付箋を、マッピングしながら雑談します。いや、雑談しながらマッピングします。付箋(やったこと)を1枚取って、どんなFunやLearnがあったのかを話しながらマッピングしていくと進めやすいです。
ex. 楽しかったけど学びはなかった場合は、FunとDoneの間に貼る
ex. やったけどFunもLearnもない場合は、Doneに貼る
3. 雑談する(20分)
残りの時間はだいたい雑談しています。Fun Done Learnの結果を見ながら、
「今日はDoneばっかだねー」
「もっとFunとLearnを増やしたいねー」
「これって実はこういう学びがあったんじゃない?」
「いやー、学びしかない!楽しみしかない!」
などの会話が生まれます。
4. 結果をチームチャットに貼る(1分)
最後に結果を写真に撮ってチームチャットのFun Done Learnチャンネルに貼ります。本当は壁にどんどん張り出していきたいのですが、残念ながら場所がないのでチャットで我慢しています。
きっかけ
前述の通り、自分のチームでは日常的にモブワークをしています。
そのため、
- お互いのやっていることを共有することは不要
- 問題が発生した時点で話し合って適切なタイミングで解決している
という理由から、一般的な「ふりかえり」はやらなくなりました。
ところが先日のRegional Scrum Gathering2019でのkyonmmのプレゼンをきっかけに、Fun Done Learnによるふりかえりを試しにやってみることにしました。
具体的には、Krebs CycleやKPT as Artのところに共感しました。
前述のスケジュールで、Art TimeやScience Sessionという名付けをしたのはここからインスプレーションを受けています。
Fun Done Learnの目的
自分のチームではArtの時間としてFun Done Learnをしています。
Art = Behavior(ふるまい)をInformation(情報)にするためのふりかえりなので、1日の活動をFun Done Learnという情報にすることを唯一の目的にしています。
したがって、問題発見・問題解決・相互理解など一般的な「ふりかえり」で目的にしがちなところは目的としていません。なぜかというと、自分たちの場合はそれらは日常的に行っていることなので時間軸が合わないからです。
Fun Done Learnをやってみて
自分たちにはとても合っているように感じました。
チームの活動内のFun(楽しさ)やLearn(学び)について日常的に話すようになりました。同じ体験をしても人によって感じることは違います。共通体験をつくることは重要ですが、共通体験をした結果なにを受け取ったかまで共有できるとさらに強力です。
自分はただDoneしただけだと思っていても、同じ体験をした別のチームメンバーが、
「これって学びじゃない?」
「こう考えると楽しかったよね」
という受け取り方をしていたとしたら、なんか得した気分になりますよね。学び方や楽しみ方のような暗黙知を共有できるきっかけになるような気がしました。
Fun Done LearnからFun Learnへ
こんな感じで2週間ほどFun Done Learnをやってみた結果、自分たちのチームではDoneに情報量がないことに気づきました。
Fun(楽しさ)Learn(学び)の量を知ることが、自分たちにとっては情報なので、Fun Done LearnからFun Learnの二元軸に変化しました。
きっと今後も変化していくことでしょう。
Fun Done Learnのすすめ
最後に自分たちでFun Done Learnをしばらく体験してみて感じたことを書きます。
- シンプル
- やったことを分析するだけなのでシンプルです
- 問題を分析したり解決したりする必要はありません
- ポジティブ
- 「Fun」や「Learn」などポジティブな話に集中できます
ふりかえりがうまくいかないという相談を受けることがよくありますが、大抵の場合「つめこみすぎ病」や「期待しすぎ病」にかかっている気がします。
コミュニケーション、相互理解、問題発見、問題解決など、ふりかえりの目的がもし2つ以上になっている場合はこうした病にかかっているかもしれません。2つ以上に増やすのは1つができるようになってからです。
極端な話、フレームワークに頼らずとも雑談できればそれでいい気もするし、ふりかえりが自然にチームの活動に溶け込んでいることが個人的には理想だなと思います。
そこまではちょっと遠い気がする場合、気楽にふりかえりをするのにFun Done Learnは非常に有効だと思いました。