「BPStudy#140〜IT企画/エンジニアリング組織・マネジメントを語る会」というイベントで1on1についてのLTをしてきました。
BPStudy#140〜IT企画/エンジニアリング組織・マネジメントを語る会 - connpass
「最新技術を身につけたい、極めたい」 「プログラムコードを書き続けていたい」 と多くのITエンジニアが考えているので ...
bpstudy.connpass.com
1on1から始める、でよいのか
最近「エンジニアリングマネージャー」という言葉がバズっていて、様々な書籍やスライドやブログ記事を目にするようになりました。その中でマネジメントプラクティスの1つとして、1on1が注目されています。実際に1on1を導入している企業も多く、私が所属している楽天でも数年前に全社的に1on1が導入されました。
ところが、自分のまわりにいる社内外のエンジニアと話していると1on1についてネガティブなイメージを持っている人がそこそこいるように感じています。
エンジニアリングマネージャーとしてがんばろうとしている人たちとエンジニアの間で、大きな隔たりがあるように感じました。そんなことをTwitterでつぶやいたりしました。
エンジニアリングマネジメントをこれからがんばろうとする人が、メンバーとのタッチポイントとしてまず1on1から始めることは本当によいのだろうか。そんな疑問が自分の中で浮かんできました。
1on1に関するアンケート
このもやもやをもう少し具体的に実感したかったので、試しに1on1に関するアンケートをとってみました。ご回答下さった皆さん、ありがとうございました。
TwitterやFacebookでアンケートを募ったので、自分とつながりがある人+その周辺の方にお答えいただいています。したがって、比較的勉強会など社外で活動している人などが多いため結果にバイアスがかかっていると思います。実態は全体的にもう少しネガティブな結果になるんじゃないかな、と想像しています。
実際に1on1をしている人は60%くらい。
4人に1人は1on1に対してネガティブあるいは無関心という結果でした。前述の通り、実態としてはもう少し多いのではないでしょうか。
どんなマネージャーと1on1をしたいかを聞いてみましたが、ワードクラウドだと細かいので大まかにカテゴライズしてみました。
ざっくりいうと、話を聴いてくれる人かつ自分にとってプラスになる人であれば1on1をしたい、という結果になりました。当たり前ですね!
「技術がわかる/話が通じる」という項目がそこそこ多いので、ある程度同じ言葉で話すことができる人と1on1をしたいと思っている方が多いようです。
今度は反対に、どんなマネージャーとは1on1したくないかを聞いてみました。
さっきの逆で、話を聴いてくれる人かつ自分にとってプラスになる人でなければ1on1したくない、という結果になりました。そりゃそうだ!
1on1が会社の仕組みとして導入されることが増えている影響なのか、「ただ形だけやっている」人とは1on1をしたくないと思っている人がそこそこいます。
これらのアンケート結果から、
- そこそこの割合の人が、1on1に対してネガティブor無関心である
- 話したい人とであれば1on1をしたいし、自分の話を聴いてほしい
ということが読み取れます。したがって「流行っているからとりあえず1on1から始めよう」という短絡的な発想は危険で、かえって逆効果になってしまうかもしれません。
また、元も子もない事実として、1on1をうまく活用しているマネージャー達は1on1を始める前からメンバーとの信頼関係を構築できているのです。仮にまだメンバーと信頼関係が築けていないマネージャーが、彼らの話を参考に1on1から始めようとするとどうもうまくいきそうにありません。
そもそもメンバーとよい信頼関係を築くことは1on1の目的の1つでもあるので、まずはお互いにポジティブな気持ちで1on1に臨むことができるような関係づくりから始める方がよさそうです。
1on1から始める前に、 雑談から始めよう。そんなことをメッセージに今回はLTをしました。
資料
当日の資料はこちらです。
資料の中にもメッセージを入れましたが、マネージャーもメンバーも同じゴールに向かう仲間であるはずです。どちらが上でどちらが下という話ではないはずなので、一緒にうまくいく方法を模索する方がよさそうです。
マネージャーも「マネージャーなんだからしっかりやらなきゃ」などと気負わずに、自分の悩み事や考えていることをメンバーに正直に相談をすればいいのです。一方で、メンバーもマネージャーはただの人間であることを理解し、マネージャーに対してフィードバックをしてあげる姿勢が重要です。
1on1も、雑談も、People Managementも、ただの手段の1つでしかありません。そんな体裁にこだわるよりも、一緒にゴールに迎える仲間が増えたほうが自分は嬉しいかな。