子と育つ

「子育ては学ぶことが多い」は呪いかもしれない

子育てエンジニア Advent Calendar 2023 25日目の記事です。

子育てエンジニア Advent Calendar 2023 - Adventar
子育てエンジニア Advent Calendar 2023 - Adventar

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第一子が生まれた2018年からはじめた子育てエンジニア Advent Calendarも6年目になりました。アドベントカレンダーを立てるのを忘れていると、「今年は立てないんですか?」とリマインドしてくださる方までいて、もはや年に1回活動しているコミュニティのようなあたたかさを感じております。毎年すばらしい記事が集まっているので、ぜひご一読ください。

こんな家族です

2023年12月現在、こんな家族構成でおもしろ楽しく生活しています。

家族構成

自分(37歳、エンジニア、フルリモート)

妻(会社員、リモート&出社)

長男(5歳、幼稚園)

二男(2歳、保育園)

今年から妻が復職しました。上京組夫婦なので、復職前はどうなることかと思っていましたが、送り迎えパズルにもすぐに慣れました。二男も保育園に登園するようになり、社会に出ると一気に成長することを実感しています。

ちなみに家族の中で最も長い時間家を守っているのは自分です(ドンッ!)

子育ては学ぶことが多いのか

とある友人のSNSでの投稿が心に残っています。その投稿の要点をまとめると、以下のような内容でした。

  • 「子育ては学ぶことが多い」とよく聞くが、自分はあまりそうは感じない
  • もちろん子育てから学ぶことはあるが、他から学ぶことのほうが自分にとっては実りが多い
  • 「コスパは悪いかもしれないし、学びはそれほどないかもしれない。でも自分は子育てがしたい。」で十分

もちろんこれは他人を否定するものではなく、本人自身の捉え方を客観的に分析して書いてくれているものです。

自分自身も漠然と「子育ては学ぶことが多い」と感じていました。しかし、この客観的な分析はとてもおもしろいと感じたので、自分なりに考察してみたいと思います。自戒も込めて。

子育てフェーズをポジティブにとらえたい気持ち

事実として子育てにはコストがかかります。お金はもちろんですが、時間も必要です。

子育て世帯の夫の家事・育児時間、なお妻の4分の1」(日本経済新聞)より引用

1日に家事・育児にかかる時間は、6歳未満の子をもつ夫婦は全年代に比べて、男女ともに約2倍になるそうです。これだけの時間を確保するためには、それまでの時間の使い方を大きく変える必要があります。

自由時間の時間の使い方は人によって違います。学習意欲が高いエンジニアであれば、勉強会に参加したり、技術書を読んだり、コードを書いたりしていたかも知れません。子育てフェーズに入ると、たいていの場合この「自由時間」が減ることになります。だからこそ、学習意欲が高い人であればあるほど、自身の学習と子育ての両立が悩みになりやすいです。実際に「子育てエンジニア Advent Calendar」を眺めてみても、学習をテーマにした記事がとても多いです。

そうした悩みの中で、「子育てからも学びがある」のように受け止めることで子育てフェーズをポジティブにとらえたい気持ちは痛いほどよくわかります。一方で、この言葉の裏側に、

エンジニアとしての学習の時間が減ってしまって不安だ

不安な気持ちから目をそらすために、子育ての時間からも学びを得ていると受け止めよう

という不安を理由にした自己正当化が働いているとしたら、子育てにとってもエンジニアとしての学習にとっても中途半端になってしまっているのかもしれません。

我々 私はなぜ子育てをするのか

自分にとって子育ての目的は、

  • 子供が自立するまで、安心して過ごせる居場所をつくること
  • 子供にこの家族に生まれてよかったなって思ってもらうこと
  • 子供が人生の大事な場面でとりたい選択肢を選べるように、選択肢を増やす支援をすること

です。

「子育て」にフォーカスして考えてみます。自分の場合、子育ての目的の中に自分が学ぶことは入っていません。極端に考えたときに、自分にとっての学びがまったくないとしても、目的を達成するために必要な行動であればなんの迷いもなく行動します。なぜなら現在の自分にとって子育ては、人生の時間を賭けてでも取り組む価値があると感じているからです。そしてなにより子育て自体が楽しいから子育てをしていたいからです。

もちろん副次的に、子育てから得られる学びはたくさんあります。でもそれは主題ではないし、理由にする必要もありません。ポジティブに受け止めることの重要性は理解しつつも、「我々私はなぜ子育てをするのか」という命題を常に心に抱いていたいです。

エンジニアリングはエンジニアリングでしか上手くならない

現代サッカーのトレーニング理論の中では、「サッカーはサッカーでしか上手くならない」ということが言われています。

筋力トレーニングやドリブル練習・シュート練習のような要素技術の練習も確かに大切ですが、サッカーをうまくなりたければなるべく試合に近い状況で状況分析と判断を伴う練習が必要だという考え方です。

これは本当にそうだと思っていて、エンジニアリングはエンジニアリングでしか上手くなりません。Connecting the dots の話のように、他分野で得た学びが他分野で活きることはありますが、それは偶発的な結果論に過ぎません。

つまり、子育てから得た学びがたまたまエンジニアリングに活きることはあるかもしれませんが、結局エンジニアリングがうまくなりたいのであれば限られた時間の中でどのように学習をするかということからは逃げられません。

「常に学んでいたい」という呪い

このテーマで考察をしていて、優先順位をつける覚悟を問われているのだと感じました。

  • いまの自分の人生の優先順位を認知する
  • 優先しているものを達成することに集中する
  • 集中している間はそれ以外のことは忘れる(執着を捨てる)

優先順位をつけるということは、優先しているものに集中している間はそれ以外への執着を捨てる覚悟をもつということです。子育てをしているときは子育ての目的に集中する、エンジニアリングをしているときはエンジニアリングの目的に集中する。

そのためには、「常に学んでいたい」という価値観の呪い(執着)を解く必要があるのかもしれません。

子育ては学ぶことが多いのか

本題に戻ります。子育ては学ぶことが多いのか。

  • 子育てフェーズに入るとエンジニアリングを学ぶための時間は減る
  • 子育てから学ぶことはあるが、学びを得ることは子育ての主目的ではない
  • 学びがあるかどうかに関係なく、子育てをしたいから子育てをする(それでいい)
  • エンジニアとしての学習は子育てとは切り離して考えたほうがよい

というのが今の自分の中の答えです。友人の投稿と結論は似ていますが、考察したことで解像度が上がりました。

子育てからなにを学ぶかを考えるよりも、子育てはしたいからしている。だから子育て自体を家族と一緒に楽しみたい、と改めて感じました。

  • この記事を書いた人

TAKAKING22

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