エンジニアが勉強会で話を聞きながらタイムラインで騒いでいる理由
①インプットしながらアウトプットするため
講演を聞くという行為は、どうしてもインプット一辺倒になってしまいがちです。そして集中して聞こうと思っていても、人間の集中力は脆いので興味がない話が続くと集中力が途切れて眠くなってしまいます。また集中して聞くことに夢中になり、なんかためになったけどよく覚えていないという経験がある人も多いのではないでしょうか。
人の話を聞きながら(インプット)自分の言葉に変換して出力する(アウトプット)という行為は簡単なようで難しいです。機械的な全文書き起こしでもしない限りは、相手の話していることを咀嚼して自分の理解に落とさないと自分の言葉には変換できません。「重要なことだけ書く」ということは、何が重要で何が重要でないかという自分の理解/判断のステップを挟んでいるのです。
インプットとアウトプットは表裏一体であり、アウトプットしようとすることで効率的なインプットにつながることがあります。
エンジニアがプログラミングを勉強する際に、本やサイトを読みながら(インプット)書いてあるサンプルコードをそのまま書き写して実行する(アウトプット)する「写経」をすることがあります。特にエンジニアは手を動かす職業なので、インプットしながらアウトプットすることに慣れている人が多いのかもしれません。
②他人と学びを共有しながら学びを深化させるため
「①インプットしながらアウトプットするため」については、話を聞きながらメモをとる方もいるので共感できる人が多いかもしれません。
そのメモをTwitterなどのソーシャルな場に投稿することはどのような理由があるのでしょうか。
ノートやメモなどにアウトプットする場合は自分がわかればいいですが、それをソーシャルな場に投稿する場合は、ある程度他人の目を意識したアウトプットになります。また、学びを残すという視点でも、自分以外の参加者も一緒にメモをしてくれるようなものなので、効率的になることが多いです。
また、話を聞きながら他人の学びと自分の学びを照らし合わせていくことで、自分では理解しきれなかったことが理解できたり、言葉の裏側にある意図や背景を他人のアウトプットから読み解くことができます。
さらに講演者が後からタイムラインを眺めて、参加者のツイートに対して反応をしたり、自分の講演のフィードバックとして自らの学びにつなげることもできます。
このように他人と学びを共有することは、自分の学びを深化することにつながる可能性があるのです。
エンジニアは仕事の中で、自分が書いたコードやドキュメントを他人にレビューしてもらうというスタイルをとることが多く、自分のアウトプットを他人の目にさらすことに慣れている人が多いのかもしれません。また、勉強会だけでなく会議などで議事録をとる際にも、チームチャットなどを使って同様の学びの共有をすることも多いです。
まとめ
もちろんこれはエンジニア全員がこういう行動をとっているわけではないですし、同じ行動をとっている人たちの中でも全く違う目的で行動している人たちもいるでしょう。あくまで自分自身と自分のまわりにいる人達とこのテーマで話したことを書いてみました。
学び方の1例として参考になれば幸いです。
蛇足:人の学び方を笑うな
最近とある勉強をする場で、講演を聞きながらタイムラインで盛り上がっていたところ、
「人の話を聞きながらタイムラインで騒いでいるなんで失礼だ」
という意見を耳にすることがありました。
- 人の話を聞く時は前を見て聞いていることが大切だ
- 他人の話は黙って聞いているものだ
という価値観をお持ちの方はなるほどその通りなのでそれで良いと思います。
一方で、勉強会や研修という場は学びの場で、相手の話を聞きながら学びを最大化させようとアクションをとっていることは本当に失礼なのでしょうか?
答えは、わかりません。
自分も勉強会などで講演者や講師として登壇することがあるのですが、講演する目的の1つとして、聞いてくれている皆さんに何かを学びや気づきを持ち帰って欲しいという思いがあります。なので、参加者が学びを最大化させようとしてくれているのであれば最&高に嬉しいです。また、自分自身も講演することを通して学びを得たいと思っているので、ポジティブ・ネガティブに限らずフィードバックをもらえることも最&高に嬉しいです。
ところで、人の学び方に口を出すことは失礼ではないのでしょうか?
といったように、失礼合戦を始めるとキリがありません。どちらも自分がそうするべきだと思っている行為をとっているのであれば、お互いの「正義」がぶつかるだけです。ましてや講演者にとって失礼かどうかの話をしているのであれば、勝手に他人のふんどしで相撲とるなよって感じですね。
そんなことしている暇があったら、いろいろな考え方を持った人を受け入れて自分自身がどういう行動をとるかを考えていきたいなと思いました。