新型コロナウイルスの影響でWorking From Homeをする人が多くなった。そして、オンライン会議などをする際に顔を出すべきか否かという話をよく耳にするようになった。
緊急事態宣言が全国的に解除されて、リモートワークを続けるのか元通りの会社生活に戻るのか、というこのタイミングでこの問題について考えてみる。
オンラインコミュニケーションでは顔を出すべき?
オンラインコミュニケーションの場では顔を出すべきだ、といわれる主な理由はこんなところだ。
- 何しているのかわからない
- コミュニケーションが円滑でなくなってしまう
- オフラインでは顔を出している
- 仕事なんだから
個人的にオンラインで自分が話しているときに参加者の反応が見えずに不安になった経験があるので、顔を出してほしい気持ちは少しはわかる。一方で、これらは少し極端な意見に聞こえてしまう。
「オンラインはオフラインの代替」なのか?
こうした意見の根底には、「オンラインはオフラインの代替である」という考え方があるように思う。
言い換えると、「本当はオフラインコミュニケーションの方が効率的だけど、この事態になって仕方がないのでオンラインでやっている。だから事態が収束したら元に戻そう。」ということだ。
それでいいのであればいいのだけれど、ちょっとダサい。そこでもう一歩踏み込んで考えてみたい。
オンラインコミュニケーションを考える
まずできることはなんだろうと考えて、「顔出しをしない」「聞き専で参加する」というコミュニケーションスタイルを受け入れることにしてみた。
気軽に実験できる場、ということで製造業アジャイル勉強会というコミュニティでオンラインイベントを開催してみた。そのときの詳細はブログに書いた。
ここではオンラインコミュニケーションを中心に考えて設計をした。
- 顔出ししなくてOK
- 聞き専で参加してもよい
ということを大々的に伝えた上で、開催してみたところ想像以上によかった。
参加者の方からのフィードバックでは、「子供も家にいるのでありがたい」「家の中で仕事をできる場所が限られていて整理的できていないので助かる」などいろんな意見があった。
運営側としても「顔出し」を気にしながら運営するくらいなら、最初から受け入れることで気にしなくてよくなるし、かえって新しい発見もあるのでいいこと尽くしだった。
例えば新たな発見としては、オンラインコミュニケーションでは会話とテキストチャットのメッシュコミュニケーションをしやすいので、かえってコミュニケーションが活発になっているように感じた。会話だけの場合は話している人だけが発信することになりそれ以外の人は聞いているだけになる。そこにテキストチャットが加わることで、全員がタイミングを計らずとも常に発信することができる。
「オンラインはオフラインの代替」からの脱却
「オンラインはオフラインの代替」という考えにとらわれていると、新しい価値を発見するチャンスを逸してしまうかもしれない(そしてダサい)。
そもそも顔出しするだけで、
- 何しているかわかる
- コミュニケーションが円滑になる
- 仕事していることになる
になるわけではない。
もちろんオンラインでは一切顔出しする必要がないということが言いたいわけではない。顔を出した方がよい結果を生むこともあると思う。ただし、それをルールで縛るのではなく、
- 顔出ししてほしい理由を参加者に伝えて理解してもらう
- その上で個々の事情に合わせて参加スタイルを選んでもらう
- 選択の自由があることをその場にいる全員が受け入れる
という状態に持っていくのが理想である。
家にお邪魔しているのは仕事の方だ
屁理屈かもしれないけれど、Working From Homeなので家にお邪魔しているのは仕事の方である。であれば、もう少し家にやさしいコミュニケーション設計を考えてみてもよいのではないだろうか。